バッタの特徴、大量発生の原因とは。環境の影響を受ける小さな生き物の真実に迫る。

小さい子でもバッタは知っているように、誰もが知っている昆虫ですね。

力強いジャンプが子どもからも人気ですが、

環境の変化にとても敏感な生態をもち、大量発生のニュースでも世間を騒がせているバッタ。

この記事では、意外と知られていないバッタの生態や大量発生の原因について、

植物の専門家であるフローリストの視点から説明していきます。

目次

バッタの生態、生息地、英語名は?

まずはバッタの基本的な生態についてみてみましょう。

多くの種類は、熱帯・温帯の草原や砂漠地帯に広く分布しています。

キリギリスやコオロギよりも、乾燥していて草丈が短く、地面がむき出しになっているような環境に多く生息しています。

バッタ(飛蝗)は、バッタ目(直翅目)・バッタ亜目 (Caelifera) に分類される昆虫の総称で、イナゴ(蝗)も含まれますが、地域などによってはバッタとイナゴを明確に区別することもあります。

漢字表記では、「螇蚸」、「蝗虫」や「蝗」とも呼ばれ、英語ではGrasshopperと呼ばれます。

バッタは何科?キリギリス、コオロギとの違い

キリギリスやコオロギは同じバッタ目で、体型もよく似ていますね。

バッタを簡単に見分けるポイントとして、

  • 体が前後に細長く、触角は短い
  • 後脚が大きく発達し、後脚で体長の数十倍もの距離をジャンプすることがができる
  • 成虫になると多くの種類で翅が伸び、空中を飛ぶこともできる

翅の構造は細くて不透明な前翅と、大きく広がる半透明の後翅からなります。

植上性では爪の間に吸盤状の器官が発達していて、この吸盤によって植物などにしがみつくことができるのです!

バッタの食べ物は?肉食?雑食?

多くの種類はイネ科やカヤツリグサ科の植物を食べるが、フキやクズなど葉の広い双子葉類を好む種類もいます。

また、カワラバッタなどは植物の他に、昆虫の死骸なども食べる雑食性でもあるんです。

バッタの相変異とは エクソシスト2にも登場

バッタの幼虫は通常、低い密度で生息すると孤独相(こどくそう)と呼ばれる単独生活を送るふつうの成虫になります。

しかし、環境によって、幼虫が高い密度で生息した場合…

群生相(ぐんせいそう)という飛翔能力と集団性が高い成虫

に変化するという特徴があります。

群生相の成虫は、孤独相の成虫にくらべて

  • 後脚が短い
  • 翅が長くスマートな体型
  • 体色が黒い

といった特徴があります。

このように、生物の個体群の密度によって、その生物の体型が変化することを相変異(そうへんい)と呼びます。

サバクトビバッタ、トノサマバッタの大量発生

バッタの大量発生、というニュースを見たことがありますか?

相変異をした”サバクトビバッタ””トノサマバッタ”といったいわゆるワタリバッタは、ときに大量発生して大集団飛蝗を作り、植物を食べつくす蝗害を発生させることがあります。

集団が通りかかった地域の田畑は壊滅的な被害を受け、

さらに食べるものがなくなるとバッタの集団内で共食いが起こる凄まじさです。

映画『エクソシスト2』の象徴的シーンに使われましたね。

昔は日本のトノサマバッタなどでも発生する現象でしたが、近年はその発生を見ることはほとんどありません。

これは農薬による防除の発達や、生育環境の変化などによると考えられています。

アフリカから中国へ バッタによる「国家非常事態宣言」2020年

現在問題となっているのは、2020年1月にアフリカのソマリアで大発生したサバクトビバッタです。

サバクトビバッタの大群が異常なほど大規模で、膨大な量の穀物や飼料を食べ尽くした結果、

「人々とその家畜の食料源が危険にさらされている」と報じられ、ソマリア政府は2月2日に「国家非常事態宣言」を発表しました。

非常事態宣言にまで至った、バッタの大量発生の原因はなんだったのでしょうか?

専門家によると、

「干ばつの後にサイクロンによってもたらされた大雨がサバトビバッタにとって好適な環境を生み出した」

と言われています。

それでは大量発生したバッタの集団は、どのような動きで、どこに向かって移動しているのでしょうか?

サバクトビバッタ 群れの移動は片道切符?

群生相の群れは一日に100km以上風に乗って飛翔しています。

季節風に乗って移動し、「冬繁殖地」「春繁殖地」そして「夏繁殖地」を渡り、繁殖に適した地域へと移動します。

風に乗って移動した先に雨が降っていることが多く、

結果として餌となる植物の多い、産卵に適した地域に到達することができるとされています。

鮭とは異なり、同じ個体が再び生まれ故郷に戻ってくることはありません。

バッタはいつも、片道切符の移動なんですね。

群生相の成虫だけが長距離移動できると思われていますが、実際には孤独相の成虫も長距離移動すると考えられ、群生相は日中、孤独相は夜間に飛翔移動するとされています。

アフリカで発生した大群は、現在中国まで来ているようです。

バッタの大量発生は「世界の終わり?」

旧約聖書には、神の怒りに触れた古代エジプトで、病気の蔓延やバッタの大量発生といった災禍が相次いだという記述があります。

これを踏まえて、欧米メディアの中には「世界の終わり」といった見出しを煽るものさえあります。

バッタの襲来で食糧事情が悪化すれば、新型コロナウィルスですでに高まっている国家間の緊張がさらに高まることは想像に難しくありません。

アジアは中東やアフリカと比べて日本経済により緊密に結びついており、この地域で生産が滞れば少なくともバッタが日本にまで来なければ無関係とはいえないことは確かです。

終わりに

私達に今できることは、まず自分たちの周りの環境や地球について興味をもつことです。

GANON FLORISTは、「世界一花を愛せる国を作る」という理念のもと、

常に植物や生物を尊敬し、自然と共に生活をしながら様々な思想を発信しています。

この記事を読んだ皆様が、少しでも虫や植物・環境問題に興味をもっていただけると嬉しいです。

蜂について書いた記事もありますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。

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