作品「平和の象徴」フラワーアーティストによる苔のキノコ雲。日本人として世界に届けたい想いとは。

フラワーアーティスト清野光の新たな作品が発表された。

静かに完成されたその作品には、重々しくもどこか神秘的な雰囲気がある。

苔や植物で覆われたキノコ雲は、何を意味するのか———

そこには、ウイルスや情報に人々の心が大きく揺れる今だからこそ、自然を尊敬する一人の人間として、人々に伝えたい想いがあった。

https://www.youtube.com/watch?v=4-uWNYkU2lU
目次

今、平和を考える作品の制作に至った背景とは

清野:私は戦争評論家ではありません。
ただ、今あまりに世界中で一斉に争いが起き過ぎています。

情報社会が進むにつれて、世界の間のバリアーが取り除かれて、他の国で起きている出来事も全てが自分のことのように思える時代になりました。

これはもちろん良いことではあるのですが、これまで自分の国のことだけに関心をもっていた人々が、今は「地球」という一つの大きな世界で生きているんです。

その一方で、地域や地位、貧富の格差がありすぎる。

簡単に同じ意見をもった人たちで集まれる時代だからこそ、人々は集まって他人を責めようとしてしまう一面もあって。みんなで「誰が間違っているかはっきりさせよう」という。

大きく時代や価値観が変わる時には、戦争や争いがおこりやすかったりしますよね。

まさに今、新型肺炎で世界中が動揺している中で、AIの発展や社会の情勢の大きな変化があるわけで。

そしてそこに、何億人も殺すことができる、という“核”という存在があるんです。

もちろん、私1人の力でそれを食い止められると思ってはいませんが、私が敢えてこのキノコ雲を”苔”にしたのは、“キノコ雲は年をとった“、「もう争いごとは古い」ということを伝えたいからです。

長崎と広島に”原爆”が落ちている日本人として、私は今でも多くのことを考えるけれど、もう苔は生えている。もう一回やる必要はない。僕にとってこの形は平和の象徴です。

多くの国の人たちは、原爆が落ちたり、その物語を教えてくれる博物館がある環境ではありません。

しかし、だからと言って無関係ではなく、今の時代、正直、多くの国が核兵器を落とそうと思ったら、落とせてしまうんです。本当に戦争を始めようと思ったら。

その原爆が、我々の国に先に落ちたんです。

こう、ボーンと。瞬く間に。それが、私達日本人が、世界中に見せていかないといけない理由です。

「平和の象徴」という作品名に込めた想い

清野:ただ、何が起きたか忘れないで!というメッセージではありません。

もちろん、忘れるべきじゃない。亡くなった方や、家族の死、後遺症に今でも苦しんでいる人たちが大勢います。何が正しかったのか、もちろん色々な意見もあります。

この作品をみて、何をどう思うか自由です。

ただ私は、この作品に“攻めの気持ち”は一切込めていません。

もう一回やりたいなら、もう一回この形を、空で見ることになる。ただ、もうそれぞれの人生の時間は流れて、苔は生えているからね、という。

そこまでのストーリーが詰まっているのです。

僕に限らず、多くの人が“平和”だけを求めています。そこに向かう手段や価値観に違いがあるだけで。

みんな、山も自然も苔も素敵だー!と言いに、旅行をします。竹林にいったり、海の前でリラックスしたり。それが私たちが本能的にもっている答えだと思うんです。もう少し自然や地球に目を向けていく方がいいかもしれないですね。

なぜ作品に“植物”を使うのか

清野:私が植物や花を使って作品を作るのは、この世で1番現実離れしているものだからです。

世界中の昔の物語に、妖精とか不思議な生き物がでてきます。そしてその妖精たちは、なぜか人を助けたりする。

そもそも、僕は、それらの妖精は、昔の人が蜂とか虫をみて描いた世界なのではないかと思っているんです。

何が言いたいかというと、冬になったら植物が枯れて、人間からするとただ「また秋だね」っていって終わる話なんですけど。

寒くなって、木は幹に栄栄養を集めて、葉が赤くなって、また来年も生きるために落ちていく。それが毎年当たり前のように繰り返されていくことが、実際に起きていることが本当に奇跡的で、虫も、生き物も、勝手に動いていて、冬になっても春になってもまた、生きているじゃないですか。

「自分で(自然や植物を)作れ」って言われたら作れないですよね。ただの一つも。けど実際に何千匹も存在しています。花も全く一緒なんです。

だから、植物や自然物を芸術で使うっていうのは、地球の元々存在する原点のものを使っているということで。

私は、自分が1番尊敬している自然の力を借りて、世の中に伝えていきたいことがあるんです。

そもそも、ミラクル。

雨が降るのも、木が生えるのも、全部それですよといって見せたい。

”奇跡”以外の言葉は見つからないですね。

フラワーアーティスト Hikaru Seinoについて

Hikaru Seino
フラワーアーティスト Hikaru Seino / GANON FLORIST®

GANON FLORIST, led by flower artist Hikaru Seino, is a team of florists who spread flowers to create an era where nature and people can coexist.

They have organized fashion shows abroad, and has worked on the entrance of Roppongi Hills Mori Building and Kate Moss’s party. Not only creating floral arts, Hikaru has been invited to give lectures as a maestro at Gaudí architecture shows in Spain.

He is also well known throughout Tokyo and the world for producing the HANANINGEN (Flower Human) Project, which he started to create a relationship between people and flowers.
Currently, he has more than 10 shops in Japan, Bangkok, and elsewhere.

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